このたびは、伝統ある日本熱帯医学会の第45回大会会長を拝命し、大変光栄に存じます。
 現在、地球環境は、急激な人口の増加、グローバル化の加速、それらの結果としての大規模な森林破壊、深刻な海洋汚染、二酸化炭素濃度の急増に伴う温暖化現象などのさまざまな要因が重なり、大きな社会問題となっております。感染症の領域におきましても例外ではなく、これらの環境変動の影響を強く受け始め、特に世界的な気候の変動は、従来みられなかった感染症を北半球の国々に拡大させる危険性を潜ませています。近年、毎年のようにみられるウイルス感染症のアウトブレークはその兆しかも知れません。このような時代背景の中で、熱帯地域特有の疾病を研究対象とした日本熱帯医学会の存在意義は、ますます重要なものになっていくものと考えられます。
 第45回学術集会では、特別講演二題、教育講演四題、一つのパネルディスカッション、二つのシンポジウム、そして三つのワークショップを企画させていただきました。詳細はプログラムをご参照いただくとして、この学会において熱帯医学のさらなる重要性が浮き彫りにされ、今後起こりうる感染症の危機に十分対処できるシステムの構築に貢献できればと願っております。
 多数の会員のご参加を願い、ご挨拶とさせていただきます。