会長ご挨拶

日本結合組織学会およびマトリックス研究会の2008年度合同学術集会開催にあたって

基礎研究と臨床研究の融合がもたらすものに期待して



第40回日本結合組織学会 会長・伊東 晃 第55回マトリックス研究会 会長・野水 基義


 日本結合組織学会およびマトリックス研究会は、2008年度開催の各学会を「第40回日本結合組織学会・第55回マトリックス研究会合同学術集会」として共同開催します。07年度から2年続けての共催となりますが、学術的に緊密な関係にある両学会では共催によるメリットが多く、各学会会員の皆様にとって意義深い学術大会になるものと確信しております。
 コラーゲン,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸といった言葉が巷にあふれる今日を両学会の発足当初,誰が予想したでしょうか。健康志向のブームに乗ってこれらの言葉は日常生活にとけ込み、私たちの周りを飛び交っています。時折、首を傾げたくなるような情報がまことしやかに流されているの見ておりますと、一般の方々が情報の正誤を見分けることの難しさを痛感します。正しい情報を積極的に社会へ発信する必要性を強く感じるとともに、それを担うのが日本結合組織学会およびマトリックス研究会であるとも考えております。
 細胞外マトリックスの可溶化が困難であった時代には、不溶性の細胞外マトリックスは単に細胞間の充填物質であるとされていました。しかし、今日では細胞外マトリックス成分が発生・分化・形態形成・情報伝達などといった生命現象そのものに深く関わっているという共通認識に至っております。さらに、関節リウマチ,変形性関節症,ガンの浸潤・転移,組織線維症など多くの疾患が結合組織の代謝異常に起因するものであることが次々と明らかにされ、これら難治性疾患の根本的治療法確立に結合組織研究が必須であることが認知されています。このような成果は遺伝子・分子レベルの研究によるところが大であることには間違いありません。反面,今日の研究は余りに微細となり,組織あるいは個体レベルからの考察が少なくなっているように思われます。学会発表も基礎研究が多数を占め、医療への実質的貢献にどのように繋がっていくのかが分かりにくくなっているとの声も耳にします。
 本合同学術集会では、結合組織に関する基礎・臨床両分野の研究者が一堂に会し、お互いの研究成果を垣根なく議論することによって両者の融合を少しでも計りたいと考えております。両学会は、これまで気楽にディスカッションできる場であることを特徴としてきました。今回も各学会の単独開催時と同様に議論を尽くし、ご参加頂いた先生方の研究進展に役立つことができるよう念じております。
 なお,日本結合組織学会では学術大会40周年を記念して,学会本部主催による記念シンポジウムを計画しております。基礎と臨床の融合を目指した結合組織および細胞外マトリックスに関する研究について、知見を新たにすることができるものと期待しております。
 本合同学術集会が「これからの結合組織・細胞外マトリックス研究のさらなる発展」と「細胞外マトリックスの正しい認識を社会に発信する」ことに繋がりますよう願っております。そのためにも各学会会員の積極的なご参加を切にお願い申し上げます。
第40回日本結合組織学会
会長・伊東 晃(東京薬科大学薬学部生化学・分子生物学教室 教授)


第55回マトリックス研究会
会長・野水基義(東京薬科大学薬学部病態生化学教室 教授)
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