会長挨拶会長挨拶

第94回日本感染症学会総会・学術講演会のご挨拶

2020年4月16日〜18日にグランドニッコー東京 台場で第94 回日本感染症学会総会・学術講演会を担当させていただくことになりました。 歴史ある本学会の会長を担当させていただきますこと、誠に光栄であるとともに、その責任の大きさをひしひしと感じております。

学会のメインテーマは感染症学の新時代を切り拓く ―“探求する心”を誇りとして―とさせていただきました。 時代が平成から令和に変わって初めての総会・学術講演会であり、私たち感染症を志すものも気持ちを新たに臨床・研究・教育に取り組んでいかなければいけないという思いを込めさせていただきました。 特に、感染症を専門とする立場として新しいエビデンスを創りだすことの重要性とその責任を“私たちの誇り”として共有できればと考えています。

特別講演には、オートファジー研究で2016 年ノーベル生理学・医学賞を受賞された大隅良典先生(東京工業大学)、世界で初めて 抗HIV 薬アジトチミジンを開発した満屋裕明先生(国立国際医療研究センター)、インフルエンザ研究の世界的権威である河岡義裕先生(東京大学)にご登壇いただくことになりました。 それぞれの先生の“探求する心”の物語をお聞かせいただけることを大変楽しみにしております。

招請講演としては、米国感染症学会(IDSA)からChristopher Ohl 先生、欧州臨床微生物・感染症学会(ESCMID)からHolger Rohde 先生、またワクチンの専門家のRobert T. Chen 先生にお願いすることができました。 IDSA とESCMID とは2018 年にMOU を締結し、今回で2 年目の交流企画となります。これら講演を通じて日本感染症学会の国際化がさらに前進することを期待しています。

基調講演および教育講演でも学際的な交流の活性化を目的に、会員外の先生方にも多数ご登壇をお願いしております。 異なる分野における最先端の知見からどのようなアイデアを得ることができるのか、感染症領域への応用に関してどのような可能性があるのか、ご参加の先生方一人一人の探求する心に触れていただければと考えております。

そして、一般演題でも新しい試みに挑戦します。「臨床−研究コンボ・セッション」と「苦いカルテ:“タラレバ”で考える症例報告」がその1 例です。基礎と臨床の融合による深い議論、症例の中の真実を見逃さない眼、新しいエビデンスを創りだそうとする思いなどにより、新しい化学反応が生じることを期待しています。

時代が求める感染症診療と研究に的確に応えるべく、日本感染症学会の活動の在り方も変わっていかなければなりません。 何よりも、若い世代が生き生きと活躍できる学会を目指して、皆様方と一緒に第94 回日本感染症学会総会・学術講演会を創っていければと思います。

ご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

第94回日本感染症学会総会・学術講演会

会長:舘田 一博 (東邦大学)